2012年11月8日木曜日

医学生のつどい第6回実行委員会(10/27-28@大阪)

 第33回民医連の医療と研修を考える医学生のつどいをふりかえる第6回実行委員会が1027日から28日に大阪で行われました。全国から56人の医学生が参加し、埼玉からも実行委員を務めた2年生2人が参加しています。

 会議では、今年のつどいのテーマとなった「原発問題から医療と生活を考える~医学生が本気出して考えたらどうなる!?~」について、「学ぶ・楽しむ・考える」3本柱の目標からふりかえりを行いました。
 事務局が作成した「総括案」に対するSGD(スモールグループディスカッション)を行い、出された意見について深夜まで話し合って「修正案」を完成させた事務局の努力に頭が下がります。
 来年の医学生のつどいは、更に「学ぶ・楽しむ・考える」ことができる企画になると思いました。

 今回とても楽しみだったことは、国会でもっとも原子力問題に詳しい専門家を招いての学習講演でした。その内容を紹介します。   

 

学習講演 「福島原発事故の検証とこれからのエネルギー政策」


衆議院の吉井英勝議員を講師に学習講演が行われました。
吉井議員は、京都大学工学部原子核工学科を卒業した専門家であり、原発の安全性をめぐる問題を国会質問で幾度となく取り上げ、最も原子力問題に精通している国会議員と言われる方です。
講演では、16万人を超える避難者たちが未だに故郷に帰れないこと、技術的にも放射性物質が拡散しない「冷温停止」と言えないこと、汚染地域の回復に途方もない時間を要することなど、「福島原発事故はまだ続いている」ことを学びました。
また、事故は「想定外」の地震・津波で起こったものではなく、利益優先で住民の安全を顧みなかった東京電力と、行政指導を怠ってきた歴代政府による「人災」であることが豊富な資料から明らかにされました。
その背景には「原発利益協同体」と呼ばれる電力会社・原発メーカー・ゼネコン・メガバンクなど財界中枢の大企業が、政党・官僚・研究者・マスコミ・地方自治体を取り込んできた構図があると明らかにされました。

学生たちは、SGDを行って、講演に対する疑問や今後の原発・エネルギー政策提言を考えました。「原発の是非を問う国民投票を実施」、「日本政府は問題解決能力がないのでアメリカの州になったら…」「想定外禁止法を作ったら…」「どうしたら再生可能エネルギーに転換できる?」「原発利益協同体に製造者責任法を適用すべき」などなど…。様々な疑問・提案について吉井議員は一つひとつ丁寧に答えてくれました。

一番印象に残ったのは、「原子力を学んだ理由は? 原子力の研究者だったのに、なぜ原発に反対する立場になったのか?」という質問への吉井議員の回答です。吉井議員は、湯川秀樹博士がノーベル賞を受けた時期だったので原子力を平和に活かす研究をしたい思ったこと、研究を重ねる中で安全軽視の原発開発や軍事優先の実態を知り、科学者・技術者のもつべき社会的責任から原発問題を追及していると答えました。国民の生命や健康に関わる科学者になる医学生にとって、大切な姿勢を学べたと思いました。

原発問題を考えた今年の医学生のつどいの締めくくりにふさわしい充実した講演でした。
こんな医学生のつどいにぜひ参加してみませんか!

(担当T・H)